主張
新しい病院経営計画が必要
N
pp.973
発行日 1992年11月1日
Published Date 1992/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900220
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平成3年6月に行われた中医協の医療経済実態調査の結果が発表された.その概況は平成元年6月に行われた前回調査と比較して医業収入の伸びを大きく上回る医業費用の増加により,医業収支差額が著しく減少しているという結果であった.無床診療所,有床診療所,公私を問わず一般病院,精神病院のすべての施設の平均値の悪化を示すものである.おそらくかなりの病院が赤字転落を余儀なくされ,公的病院の一部は更に他会計に依存せざるをえない状況が推測される.病院経営の悪化の原因は医業収入の約半分を占める人件費の上昇が第一であろうが,人件費,医療材料費以外の経費の伸びも見逃せない要因である.
この調査の結果を受けて本年4月の診療報酬の改定が行われた.この改定で果たして病院の経営が上向きになるかどうかの判断には今しばらくの期間が必要であるが,今回改定の重点は人員確保に置かれている点を考えると当然改定による増収のほとんどは人件費改定に回ると覚悟しなければなるまい.医業経営の安定のためにはもちろん診療報酬上の手当が最も望まれるところであるが,国の社会保障費,保険財源には自ずと限界があることを理解する必要がありそうである.特に病院経営の健全化を目指すためには経営計画の再検討が必要でなかろうか.
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