レポート
ベッドサイドにおける簡易微生物検査
林 俊治
1
,
坂野 晶司
2
,
金子 正光
3
,
藤井 暢弘
1
1札幌医科大学医学部微生物学講座
2札幌医科大学医学部救急集中治療部
3札幌医科大学医学部
pp.953-956
発行日 1997年10月1日
Published Date 1997/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902238
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はじめに
臨床検査業務を中央検査室や臨床検査業者へ委託することによって,臨床の第一線は検査業務から解放され,検査精度も飛躍的に向上した.しかし,検査の中央化を進めた結果,検査の途中経過の状況がよくわからない,検査に関連する事務が硬直化し,融通がきかないといった弊害もみられるようになった1).特に,微生物検査は他の臨床検査に比べて,結果を得るのに長時間を要するため,このような弊害が大きい.しかし,ベッドサイドにおいて,迅速に起因菌を知りたいというケースは珍しくない.特に,迅速に治療を開始しなくてはならない救急医療において,そのニーズは大きい.起因菌に関する情報を全く持たない状態での医療行為は医療従事者の感染事故の原因にもなりかねない.さらに,広域抗生物質の多用の原因ともなる.
微生物検査の中にはベッドサイドにおいて,簡単に行えるものも少なくない.かつては,医師自身が検体を染色し,病原菌の鏡検を行っていたのである.ところが,臨床検査はすべて,委託するものであるとの先入観から,最近の若い医師は検査に関する訓練を受けていないことが多い.一方,迅速かつ簡便に検体中の微生物の検出を可能とする迅速微生物検出キットが数種,市販されている2).
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