人
第38回日本人間ドック学会学会長 広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター所長 伊藤千賀子先生
佐々木 英夫
1
,
八木 保
1広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センター
pp.400
発行日 1997年5月1日
Published Date 1997/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902097
- 有料閲覧
- 文献概要
現在は「女性の時代」といわれて久しいが,伊藤千賀子先生こそまさにその名称にふさわしい活躍ぶりといえる.糖尿病はわが国においても生活の西欧化に伴って急増しているが,その自然史についての明確なデータはなかった.しかし,約2万人の集団を最長30年にわたって追跡した独自の疫学調査によって,糖尿病は家族歴のない人でも発症しうること,生活様式によってその発症が左右されること,またそれは予知可能であることなど種々の重要な知見を得,わが国の糖尿病の実態を表す貴重な研究であると世界各国から注目されている.
このような成果は決して一朝一夕の努力ではなく,1966年に原爆被爆者の健康管理に携わる現在の職務に就かれて以来,黙々と築き上げてこられたものである.その原動力は,と問うと「女性でもきちんとした研究ができることを示したかった」と微笑んでいわれるが,それまでの過程は並大抵のご苦労ではなかったことが言外に感じられる.これには同業の夫君やご家族の協力ももちろんであろうが,最近でも深夜までデータ解析を行うなど,まさに“仕事が趣味”というべき天性の研究者としての資質が花開いたものといえよう.
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.