主張
患者さんを中心とした病院経営へ
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pp.209
発行日 1997年3月1日
Published Date 1997/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902045
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病院を取り巻く経営の環境の変化であるが,この1年間で180度転換したといっても過言ではないであろう.将来の高齢化社会を見据えた対応としての行財政改革の論議は,国民医療費の大幅な削減が必要とされているし,薬害エイズ事件,また厚生官僚の不祥事は,国民の医療に対する不信を急速に増幅させてしまった.本年5月より実施される予定の医療保険改革の第1弾は,医療を受ける側においてもまた医療を提供する側においても経済的また経営的な負担となることは間違いないであろう.また,近年の高齢化社会に対応した社会保険診療報酬による政策的な誘導は,地域における個々の医療機関の機能別確立を促し,方向転換が不可能となってしまっている.このような環境下における病院は,今後ますます厳しい経営を強いられるであろう.
今後の病院経営のポイントは,古くからいわれているごとく「患者さん中心の病院経営」をいかに組み立てるかである.単純明瞭なポイントであるが,これを実践的に検討している病院は以外と少ないのが現状である.このような経営の概念は,一般企業においても「顧客指導型の経営」として積極的に検討されており,わが国経済の成長過程をみれば明らかである.第二次世界大戦後のわが国の経済は,需要が供給を上回り,企業としては生産性の向上が大きな課題であった.
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