特集 病院のネットワーク化を追う
島嶼医療の将来ビジョン—保健医療福祉ネットワークサービスの展開
石野 誠
1
1長崎県離島医療圏組合
pp.561-564
発行日 1996年6月1日
Published Date 1996/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901830
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
今日の医療を取り巻く環境はきわめて厳しいものがあるが,その根底にあるものは,「需要は常に供給を上回る」ことであり,それらにかかる適正な費用を誰がどのように負担するのかが真剣に議論されなければならない.しかし,「少ない負担で最高のサービスを」という神話が一般国民および関係者の間の「同床異夢」の源泉となっているのが現実である.地域医療の現場ではもろもろの歪みが生じてきているが,もちろんサービスの供給側にも問題がないわけではない.医療資源の配分が地域によって偏っていることと,必然的に一方においてサービスの重複があることである.公的病院だけを取り上げてみても,都市部においては,国立,県立,市立,公益法人立の病院があり,それぞれに同様のサービスを提供している一方で,例えば救急医療体制の面では拠点的重装備病院と呼べるような水準に達している施設が整備されていない状況にある.今後の保健医療福祉サービスを展望するとき,そのキーワードはネットワークと言われるが,ネットワークとは役割の分担と連携であり,役割分担をするためには,それぞれの施設の機能の明確化が避けて通れないが,開設者が異なることもあって,現実にはなかなか進んでいない.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.