Japanese
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特集 職場の精神保健
現代の職場の抱える精神医学的問題
職場における精神保健福祉ネットワーク
The Network of Mental Health and Welfare for Laborers
大西 守
1,2
Mamoru ONISHI
1,2
1栃木県精神保健福祉センター
2栃木産業保健推進センター
1Tochigi Mental Health and Welfare Center
2Tochigi Occupational Health Promotion Center
キーワード:
Mental Health and Welfare Center
,
Occupational Health Promotion Center
,
EAP
,
employee assistance program
Keyword:
Mental Health and Welfare Center
,
Occupational Health Promotion Center
,
EAP
,
employee assistance program
pp.1059-1062
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902301
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今,なぜネットワークが重視されるのか
職域においても身体疾患中心の健康管理から,メンタルヘルスを視野に入れた保健活動が求められるようになった。ところが,バブル経済崩壊後の深刻な経済情勢は,一連の職場でのメンタルヘルス活動に水を差す結果をも招いている。もちろん,表立って職場のメンタルヘルス活動の縮小を口にする企業・組織は少ないが,産業精神保健にかかわる人員の削減や増員の見直しといった話はよく耳にされる。また,教育・研修の予算削減もよくやられることで,職場で実施されてきたメンタルヘルス関連の講演会・研修会の回数も少なくなったのではないか。こうした時代だからこそ職場のメンタルヘルス活動の重要性が叫ばれるゆえんでもあるが,職場のメンタルヘルス活動のより効率的な方法が求められている10)。
ところが,こうした状況にあるにもかかわらず産業精神保健の関係者は十分期待に応えていないように思われる。その要因はいくつか考えられるが,1つには専門家が陥りやすい罠として疾病性(病気や治療)を重視するあまり,職場関係者が実際に困っている事例性への配慮に欠けることが挙げられる。これは従来の専門教育の弊害の1つだろう。例えば,精神疾患が疑われ職場で混乱が生じているケースに対して,精神分裂病云々といった診断名をつけることよりも"困惑している関係者に適切なアドバイスを与え,いかに精神医学的な治療ベースに結びつけるかが優先事項となる。つまり,直属上司の責任で精神科に連れていけとか,逆に「連れてくれば,診る」といった産業医・産業看護職の姿勢では職場関係者のニードには応えることはできない。
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