ナースステーション考・1
「病院創り」始まる
島田 陽子
1
,
井部 俊子
2
1社団法人日本看護協会中央ナースセンター業務部
2聖路加国院病院
pp.994-995
発行日 1995年10月1日
Published Date 1995/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901637
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1.「『病院創り』研究会」の発足経緯
病院で実際に看護婦として働いてみると,病院の建物や設備等といった構造上の問題で,看護を効率よく提供できないという不自由さを体験することがある.例えば,ある病院では,ナースステーションと反対側に患者用トイレや汚物処理室があるような設計で建築計画が進められ,途中で看護部門が設計変更を希望したが,配管の関係で変えることができなかった.そのため,患者のトイレ介助に要する時間が非常に長くなり,患者にかかる負担も大きく,また看護婦の動線も長いという状況になっている.このような例は,枚挙に暇がない.個人レベルの工夫や努力である程度までは「不自由さ」を減らすことができるが,完全な解決にはならない.建物が,その形のまま存在する限りはその不自由さは継続するのである.
一方,一人の看護婦にとって,病院の建築という機会に遭遇する経験は一生のうちに何回もあるわけではない.病院の建築期に遭遇する看護婦のうちの多くは,初めての体験になるわけである.しかし,これまでに多くの病院建築が行われてきており,それに関わった看護婦は病院建築に関する何らかの知見を得ているが,そうした知識の蓄積はきわめて少ない.
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