特集 インフォームド・コンセント—語る時代から行う時代へ
大学の倫理委員会とインフォームド・コンセント
濃沼 信夫
1
1東北大学医学部・病院管理学
pp.929-933
発行日 1994年10月1日
Published Date 1994/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901348
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わが国の大学倫理委員会の現状
10年前までは,わが国の大学医学部・医科大学には倫理委員会(以下,大学倫理委員会)は1つも存在しなかったが,1982年12月の徳島大学を嚆矢として,80年代半ばに急速に設置されるようになり,1992年1月の北里大学を最後に,現在,全国の80校すべてに設置が完了している.なお,1980年11月の札幌医科大学,1981年11月の東京大学医科学研究所に設置された倫理委員会は医薬品臨床研究審査委員会を兼ねており,独立した倫理委員会が設置されたのは,不妊症の治療を目的とする体外受精に関する審議を契機とした徳島大学が最初とされる.
わが国で大学倫理委員会が設置されるようになった背景としては,臓器移植,生殖医療,遺伝子治療など先端医療の技術が著しい進歩を遂げ,これまでの倫理観では処しきれないような深刻な課題が数多く提起されるようになったこと,患者の権利やインフォームド・コンセント,脳死やターミナルケアについての社会の関心が高まってきたことに加えて,欧米の医科系大学や主要な病院には医学研究の倫理面を審査する,お手本となるような委員会がすでにあったことが挙げられる.
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