特集 インフォームド・コンセント—語る時代から行う時代へ
インフォームドコンセントは“納得”へのプロセス—米国で肝移植を受けた患者の立場から
野村 祐之
1
1青山女子短期大学
pp.900-903
発行日 1994年10月1日
Published Date 1994/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901342
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3度目の正直!?
僕が……(と書き出してしまって,始めにひとつお許しいただきたいことがある.人称代名詞「僕」の使用である.現代語では「君,僕」というと,ぞんざいに響いて,それが残念だ.とても気に入っているからである.「君」は古来,上位のもの,君主に対する尊敬の念を込めた呼びかけであるし,それに対応して「僕」は「しもべ」.雑事をこなす召し使い,という意味である.人に仕える姿勢,他者に対して開いている自分がそこにある.ところがそれに較べると,「あなた」とは「あっちのほう」ということだし,「私」はプライベートに,内に秘めた存在であり,他者に対して閉じている.「私する」「私事」など,本来あまりいい意味合いはない.と,思いながら念のため手元の広辞苑を開いてみて驚いた.『わたくし』の2番目の意味に,「②表ざたにしない事.ひそか.内密.秘密.」とあり,例示になんと「私に医業を為す罪」とあるではないか.
もっとも今どき,日常的には「私」の語にマイナスのイメージはないし,「君と僕」にしても,もともとの意味が意識されることはない.
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