研究と報告
大学病院等における院外処方せん発行の経済的評価に関する研究—「保険医療における医薬分業の評価に関する検討会」平成3年度調査報告書
大国 真彦
1,2
1保険医療における医薬分業の評価に関する検討会
2日本大学医学部小児科
pp.458-465
発行日 1994年5月1日
Published Date 1994/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901233
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はじめに
わが国における医業分業は,昭和49年の処方せん料の大幅引上げ以来、徐々にではあるが着実に伸びている(図)1).これには永年に亘る日本薬剤師会による推進の努力と日本医師会および日本歯科医師会の理解と協力とともに,厚生省が医療分業の推進に積極的に取り組んできたことが大きく寄与している.例えば,厚生省は,国民(患者)に対する医薬分業への啓蒙に努めるとともに,薬剤師研修センターの設立や医薬品備蓄センターへの補助など医薬分業の基盤整備を図ってきた.また,管下の国立病院(37施設)に対して院外処方せんの発行促進を指示している.これらに加えて処方せん料の引上げや,医薬分業を支える調剤技術の評価など診療報酬の面からの対策も取られている.一方,医薬分業が院内投薬よりもトータルとして医療費がかかることも事実である.投薬内容により異なるが,例えば,気管支炎・咳に対し抗生剤・解熱鎮痛薬等を1週間処方した場合は,院内外で約1,700円の差が認められている(表1).保険医療の考え方の基本は,「良質な医療の効率的な供給」とされているが,医薬分業がこれに値するのかどうかが本検討会の検討課題である.
一般的には,医業分業のメリットは次のように説明されている.
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