特別寄稿
病院経営の実態と今後の対応
岸口 繁
1
1医療法人生長会
pp.452-457
発行日 1994年5月1日
Published Date 1994/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901232
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病院経営の実態
今日病院の倒産がマスコミをにぎわせ,経営危機を噂される病院がわれわれの身近に珍しくない状況になっている.大阪でも卸問屋に薬代を払うのが困難という病院が,最近のデータで89病院もあると言われている.これらの病院はすべて私的病院であり,大阪の全病院626病院の14%,私的病院502病院の18%である.平成5年9月17日の全国公私病院連盟の「平成5年6月病院運営実態分析調査中間報告書」によると赤字病院80.4%,黒字病院19.6%となっており,平成4年6月の赤字病院73.1%,黒字病院26.9%に比べると大幅に赤字病院が増えている.赤字病院を開設者別に見ると,自治体病院91.6%,その他公的病院62.8%,私的病院63.1%となっている.また,平成5年6月の厚生省健康政策局の「病院経営緊急状況調査」では赤字病院は平成3年38.0%,平成4年38.6%となっている.病院経営の実態については各種のデータが発表されているが,公的助成のない民間病院においては経営合理化にも限界があるので,このような実態は切実な問題である.
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