増刊号 日本の病院建築
民間病院の建築
阿品土谷病院
奥村 昭雄
1
Akio OKUMURA
1
1木曽三岳奥村設計所
pp.117-122
発行日 1991年11月20日
Published Date 1991/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901084
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土谷総合病院と阿品土谷病院
阿品土谷病院の敷地は,島々の浮かぶ穏やかな瀬戸内海に面した台地の上にある.中でも宮島は間近に広がり,厳島神社の鳥居も遠望(後出スケッチ)できる.
広島市の南西部——廿日市町,大野町などの地域は,近年ベッドタウン化が進み,人口急増が続き,地域医療サービスが追い付いていない状態にあった.広島市内に土谷総合病院を持つ医療法人あかね会は,この阿品台の敷地に219床の地域病院を計画した.独立した地域病院であると同時に,車で20分の距離にある二つの病院は,いろいろな意味で相互に補完し合うように計画されている.すなわち,ケア度の低くなった総合病院の術後患者は,より環境のよい阿品病院でリハビリテーションを行う.早くから業務のコンピュータ化を進めてきた総合病院のコンピュータを,阿品病院はホストとして利用する.洗濯・焼却などは阿品病院が分担する.将来は,市街地に増設することの困難な高度医療部門は阿品病院が受け持つ,などである.また,消毒・滅菌は法人系列会社が千代田(広島県北部)に新設した滅菌センターを利用する.
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