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税務統計からみた医療費負担
岡本 悦司
1
Etsuji OKAMOTO
1
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
pp.344-345
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900902
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1.直接給付VS間接給付
医療費の保障といえば,保険や公費からの直接給付が主体だが,医療費控除という税制を通じた間接給付というべきものも存在する.
昭和63年度の国民医療費18兆7,554億円の87.6%,16兆4,381億円が保険や公費からの直接給付であった.それに対して所得税・住民税の医療費控除を通じた間接給付はわずか581億円に過ぎない(申告所得税による推計額.源泉所得税も含めればその何倍にもなるであろうが,源泉所得税の医療費控除に関する統計は無い).税制による間接給付は,現物給付ができず,医療ニードに迅速に対応できない,といった点において直接給付に決定的に劣る.しかし,保険や公費にっきまとうモラルリスクを排除でき,社会コストが少なくてすみ,患者の自立を助長する,といった利点もある.
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