発言あり
医療費の自己負担
浅野 正嗣
1
,
木島 博保
2
,
木村 慶
3
,
小平 良貞
4
,
古川 綾子
5
1愛知県医師会難病相談室
2東京都衛生局
3愛媛大学医学部公衆衛生学
4高崎市医師会
5山口県消費生活センター
pp.457-459
発行日 1984年7月15日
Published Date 1984/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206882
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誰もが安心して受療できる体制を
私達は健康な時,医療について余り考えることがない.しかし,いざ病気になるといろいろなことが心配になり,考えなければならないことが山積する.病気のこと,家族のこと,生活のことなどである.これらの中でも,取り分け医療費の問題は病人に直接的な負担としてふりかかり,病人の苦悩を増加させる.福祉社会の確立といわれて久しいが,その基本理念は「すべての国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(憲法第25条)ことである.言いふるされた言葉ではあるが,「安心して毎日の生活を送ることができる」ということである.しかし,とくに難病とか難治性疾患といわれるような病気になった人には,この言葉は重い.こういった人人にとって医療を受けることは,急性疾患でいう治療(CURE)としてよりも,慢性疾患での管理(CARE)として捉え,生活の一部として溶け込んでいる.いうならば,その人が生きていくためになくてはならないものなのである.しかも,難病といわれるような病気になった責任は本人には無いにも関わらず,そのハンディは一生本人自身が背負っていかなければならない.国はこうした人人の救済措置として,様々な制度・政策を施行しているが決して充分ではない.安易な医療のかかり方が問題にされる一方で,こうした目にふれることの少ない人々が置き去りにされていい道理はない.また難病といわれる人たちは少数のようにいわれたりするが,その数は200万人とも300万人ともいわれている.
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