病人と病気と病院
医療費の負担
水野 肇
pp.177-180
発行日 1976年3月1日
Published Date 1976/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201004
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国庫負担の背景
医療費は年々高くなってきている.すべての国民が医療を受けるためには,何らかの形で所得の多い者が所得の低い者を応援するという形態をとらざるを得ない.その方法としては国庫負担(公費)と保険制度の2とおりがある.前者の例としてはイギリスがあり,日本,西ドイツ,フランスなどは国の持っている部分は比較的少ない.日本の場合は被保険者(国民)と事業主,国庫負担の3つで成り立っていて,表1に示す8種類の保険を総合しての負担割合は図に示すとおりである.このうち保険料払い込みは事業主が2/3で組合員が1/3というものから半々のものまで,それぞれの保険で異なっている.
一方イギリスでは,図に見るように公費の占める割合が大きい.患者負担は歯医者にかかった費用の半分と薬代の一部のみである.ところがここで重要なことは,国が持つ部分が大きければ国民の負担が少ないと考えるのは間違いだということである.国が負担するということはすなわち税金でまかなうということである.そしてその大部分は所得税から回る.そこで注目しなければならないのは,日本とイギリスの所得税の多寡である.大卒4年男子単身者の例を比較したのが表2である.
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