今日の視点
病院薬剤師の新時代
朝長 文弥
1
Fumiya TOMONAGA
1
1北里大学病院薬剤部
pp.818-824
発行日 1990年10月1日
Published Date 1990/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900745
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はじめに
今,世の中は大きな変化の時代である.医療にも,医学・薬学の進歩,医療王学,技術革新の成果が導入され,我が国は人生81年という世界に類のない長寿国を実現するまでに至った.こうした医療水準の高度化や各分野での専門化の進展の中にあって,最近の医療環境は,高齢化社会の到来,疾病構造の変化,国民の医療への参加意識の高まり,インフォームド・コンセントすなわち納得した上での医療を求めるなど多様化している.そして,国民の生活水準の向上等に伴い,病院など医療機関における患者サービスの向上が叫ばれ,患者や家族に対する症状説明や薬の作用・副作用,使用法など医療情報の提供の必要性と重要性が高まっている.
厚生省においても,昨年,「患者サービスの在り方に関する懇談会」がその具体的サービスのあり方を検討してガイドラインを発表している.最近の病院は,最新の医療機器が整備され,設備的にも恵まれたところが多い.“患者が望む良い医療,良い病院とは?”について,我々病院に関係する医療人は,それぞれ立場を異にしても職種にかなった対応をする必要がある.“今後求められる良い医療”とは質の高い効果的治療が行われることであり,また,快適な医療環境が用意されることである.そして,無駄のない効果的・合理的医療,サービスの良い医療が当然ながら強く期待されるところである.
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