グラフ
病院新時代の幕開けとなるか—新聖路加国際病院が開院
pp.479-484
発行日 1992年6月1日
Published Date 1992/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903754
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新病院が投げかけた波紋
「ところで,新しい聖路加はご覧になりました」—首都圏の病院関係者の間でこんな会話が最近しばしば交わされている.4月25日の開院式の日には4大紙がこぞって取り上げる有り様で,ちょっとした新聖路加国際病院フィーバーの感さえある.1つの病院の開院がこれだけマスコミをにぎわすのは病院界にとってみれば,まさに前代未聞の事態.全室個室,正確にいえばシングルケアユニットの採用をはじめとする,患者中心の設計思想が社会に与えたインパクトがいかに強かったかがうかがえる.1床当たりの建築面積が110m2,感染管理を徹底させた設計・設備と物品管理システム,医療ガスおよび吸引装置を各室と(災害発生時の対応として)共有スペースに設置,照明を間接照明で統一,産科に導入されたLDR(Labor Delivery Recovery)室,完全予約制を基本にした外来部門(予約外の患者のためには独立した当日外来walk-in clinicがある),日帰り手術用に設けられた3室のday surgery room等々と,新病院の特徴をあげれば枚挙に暇がない.
また,聖加路の開院を待っていたかのように,4月から実施された社会保険診療報酬の改定では,室料差額を全病床数の50%まで認める,予約外来を優遇するなど,アメニティ向上への取り組みを評価する内容が盛り込まれた.そのあまりのタイミングのよさに,聖路加のための改定かと陰口をたたく人もいたくらいだ.
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