辛口リレーエッセー 私の医療論・病院論
日本の医療と看護婦対策
大田 満夫
1
Mitsuo OHTA
1
1国立病院九州がんセンター
pp.770
発行日 1990年9月1日
Published Date 1990/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900730
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退院される患者さんから,お宅の看護婦さんには,いつも嫌な顔一つせず,家族でもできないようなことを親切にして貰った,と感謝されると,院長としてこれほど嬉しいことはない.しかし,看護婦は2人夜勤で忙しいので夜は気の毒でなかなか頼めないという声も聞こえてくる.日本の医療とman power,ことに看護婦の充足は今後の重大な問題である.1986年の調査で,病床100に対する看護職員は,厚生省33.3人,公立47.1人,日赤48人,済生会45.3人である.この人数をみれば,国立病院の院長がいかにman powerの不足に苦悩しているか,少しはご理解いただけると思う.
日本人の平均寿命は急速に延びて,世界一の長寿国になった.ところが年齢階級別の受療率をみると,65歳を越えると壮年の受療率の2倍以上,70歳以上では3〜4倍にも増加し,病院が老人で占められている所も少なくない.病院のman powerの必要性は大きくなる一方である.
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