特別論考
精神科急性期治療の臨床経済学試論(3)—精神病院が病院であるために
平田 豊明
1
Toyoaki HIRATA
1
1千葉県精神科医療センター
pp.257-267
発行日 1990年3月1日
Published Date 1990/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900603
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前回は,千葉県精神科医療センターの診療システムとデータを紹介し,入院医療費と在院期間を指標にして,当センターの短期入院治療システムの費用効果分折を試みた.その結果,対象とした全国データに比較して,当センターの入院治療システムでは,退院という治療効果を得るために要する医療費が,1件の入院につき約70万円安くすむことが分かった.同一コストに対する治療効果という形で表現すれば,当センターの入院治療システムは,全国平均に比べて1.8倍の費用効果性をもつ,ということができる.
しかし,この結果には,いくつもの但し書きをつける必要がある.そのなかで最も重要なのは,いうまでもなく費用の算定に関するものである.すなわち,今回の分析では,コストの項目が,保険医療に規定された1日当たり入院医療費だけで構成されており,実際に要したランニングコストの原価計算が無視されている.
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