特別論考
精神科急性期治療の臨床経済学試論(2)—精神病院が病院であるために
平田 豊明
1
Toyoaki HIRATA
1
1千葉県精神科医療センター
pp.160-169
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900578
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前稿では,わが国の精神科医療の現状分析と当センター設立の作業仮説について述べた.要約すると,わが国の精神病床のうち,1年以内に回転する病床は全体の20%ほどであり,残りの80%の病床は,主として長期在院患者のための福祉施設として機能しているものと推測される.入院が長期化する要因には,個体因子,社会的因子,施設因子の3つが考えられるが,第3の施設因子の関与にもっと臨床家の関心が注がれるべきである.
そして,施設因子による長期在院を予防するためには,精神病院の機能を空間的・時間的に切り詰め,急性期治療の段階に治療的投入(技術,人間,時間)を集中することが必要であり,また最もcost-effectiveである.すなわち,投じたコストに対する効果が高い.これが当センターの作業仮説である.当センターは,精神科救急医療からリハビリテーションまでを連続したシステムで行う治療施設であると同時に,この仮説を検証するための実験的施設でもある.
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