特集 中小病院サバイバル
私的中小病院の生きる道
福井谷 祐一
1
Yuichi FUKUIYA
1
1医療法人崎陽会日の出ケ丘病院
pp.125-128
発行日 1990年2月1日
Published Date 1990/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900568
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はじめに
地域医療計画の設定と第二次医療法改正を前にして,事実上従来の医療機関の成長過程もしくは維持に歯止めがかかり,ある意味では発展途上国ともいえる中小病院の立場は狭い選択肢の中に押し込まれた感があり,その存続の意義が問われると同時に,新たな展開の提示と実践が求められている.
思い起こしてみれば,昭和21年に定められた日本国憲法で保障された「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がある.……」の項の「健康で文化的な最低限度の生活」に関して,近年の国民意識の変化,経済動向,高齢者社会の到来等を前にして,その保護されるものの範囲と質に異変が起きてくるのは当然のことと言わねばならない.社会医学である医療の実践者としての中小病院の機能が,それに伴い新たな変化と対応を求められるのもやむを得ぬものであるが,この対応には中小病院群の問題だけにとどまらず,医療行政のあり方とともに,総合的かつ多角的側面を含んだ視野を必要とされてもいる.このような立場に立ち,中小病院の生きるべき道について,当院の実情も紹介しつっ触れる.
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