特集 病院の医療費体系をどうする
病院の外来医療費
白方 誠彌
1
1淀川キリスト教病院
pp.780-783
発行日 1993年9月1日
Published Date 1993/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900453
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はじめに
1992年4月の医療費改定は,その後成立した第二次医療法の改正を先取りして決められた診療報酬市体系であり,今後の日本の医療制度の方向を決定する大きな転換を意味するものといえよう.入院診療機能に診療報酬面から格差をつけ,病院へ傾きつつある外来診療の流れを診療所へ向けようとしたものであり,また外来診療を中心とする開業医の診療報酬を手厚くしようとした試みとも考えられる.これは,同時に病院機能のあり方にも機能別の区分を試みたものであり,最も高度な医療を施す特定機能病院と長期療養を担当する療養型病院とを区別し,後者に定額制を導入したことは,特筆すべきことであろう.
今後は,この第二次医療法改正で取り上げられなかった問題,すなわち一般病院をどのように分類するのか,有床診療所の取り扱いをどうするのかなど,第三次医療法改正を待って,21世紀に向けた新しい医療制度の全貌が明らかになっていくのではないかと思われる.これらがすべて施行され,かつそれによって生ずるいろいろの矛盾点が是止されて初めて安定した医療制度へと発展していくことを期待したい.本稿では,当病院の外来医療費が診療報酬改定によって,どのような影響を受けたかについて述べると共に,現在の外来診療報酬に対する私見を述べたい.
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