Hospital Weather Cock 経営
総医療費と病院経営
K.I
pp.86
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202064
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昭和35年度の国民総医療費は4426億円,国民1人当り4737円で,国民所得(分配)に対して3.7%に相当すると推計された。国民所得に対する比率としては30年,33年の4%台に及ばないが,国民1人当り金額とすると35年にくらべて実に56%の増加となっている。ここで比率において減少したのは,この医療費の増加にくらべ,国民所得の伸びのほうが世界にもまれといわれるほど高かったためであり,医療費のほうで減少したことは一年もなかった。すなわち年々前年にくらべて10%内外増加しており,とくに35年には国民皆保険のせいもあって16.5%の増加であった。
国民生活の向上,医学医術の進歩にもかかわらず,医療費は年々確実に増加してゆくという傾向は,我が国だけでなく世界各国の共通な傾向である。たとえばアメリカでも,医療費が1940年には40億ドルにすぎなかったのが,60年には265億ドルと6倍以上になり,国民所得に対して5.4%,可処分所得に対する個人保健衛生費としてみても6.7%と非常に高率を占めるに至った。イギリスでも所得および医療費の増加は同様であるが,医療費が密接に国家負担と関係し,統制できる体制にあるためか,国民所得に対する比率は年々4%内外で不思議に一定している。すなわち個人負担分を操作して受診率を調節しているためと思われる。
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