特集 看護の質に何を期待するか
病院管理者としての期待
高機能地域中核病院院長からみた看護の質とその評価
小山田 恵
1,2
1岩手県立中央病院
2岩手県立衛生学院
pp.491-493
発行日 1993年6月1日
Published Date 1993/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900375
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はじめに
この数年日本の医療のなかで最も大きな問題としてとりあげられ論じられてきたのが,看護問題とりわけ看護婦不足についてのものであった.昨年医療法が改正されて病院の類型化が進められ,それぞれの類型によって必要な看護婦数が法的に決められ,看護要員の配置に応じた診療報酬が支払われる仕組みになった.また看護婦等人材確保法の制定によって看護婦の労働条件の改善,離職防止策の推進,養成機関の拡充と大学設置の促進等が国の施策として図られるようになったことは,40年間放置されてきたこの面での大きな改革であり,医療の発展を願う立場から心から歓迎したい.
しかし現実は依然として深刻で,どこの医療機関でもとにかく看護婦という資格をもったものを1人でも多く確保することに精力を注ぎ,ナースハンティンググループといわれる人達が全国を駆けまわって看護婦の獲得,引き抜き合戦に明け暮れている.病院の運命を看護婦の数に賭けているというのが実状であって看護婦の質,看護の質等というとそれは贅沢だとのそしりをうけかねない.大病院,公的病院でも現在はまず数の確保が最大の課題である.高度医療を行っていくためには医療法や特3類,特2類といった基準の要員では医療行為そのものが遂行出来ないし,増員するためには定員法という枠があって,公務員削減という国,自治体の流れのなかで医療従事者だけを増員することは非常に難しい環境にある.
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