特集 どうする中小病院
これからの中小病院はどうするのか
単科の小病院で最高水準の医療を提供
大橋 正實
1
1医療法人耳鼻咽喉科麻生病院
pp.214-215
発行日 1993年3月1日
Published Date 1993/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900311
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動植物の生態系には,自然淘汰があることは周知の通りである.最近,医療業界で良く耳にする「生き残り」も,まさにこの自然淘汰の考えに基づいていると推察される.資本主義経済が導入されて以来,一般企業社会では常にこの自然淘汰の原則の下で連続した企業間競争を繰り広げてきた.この競争がほとんど表面化しなかったのが医療業界であり,中でも病院がそうであったと考えられる.つい最近までは,誰が,どんな病院を作っても,それなりに経営できた.言い換えれば,経営できる医療制度があったと言える.スタートラインに立ちさえすれば,すべての病院が拍手で迎えられる幼稚園の運動会のようなものである.それを21世紀を見据えて上位入賞者以外は,2度と走ることを許さなくしようとしているのが,昨今の様々な医療法改正および診療報酬改定であると私は解釈している.
ではどうすれば良いのか.速く走れるように努力すれば良いのである.自分の行っている医療に,それだけの努力を払う価値があると確信できたらその努力をするのが最も現実的であろう.もっと速く走れるように,公私病院間の不公平をなくしてもらいたい,土地単価を含めたキャピタルコストを考慮に入れてもらいたい,少なくとも人件費アップ分の診療報酬アップをしてもらいたい,と私も思う.しかし現実にすでに走り始めている訳であるから,より速く走れる努力はしてみようと思う.
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