特集 在宅ケア新時代
病院、老健施設、そして在宅ケアへ—“大原健康村”構想の実現に向けて
児玉 博行
1
Hiroyuki KODAMA
1
1医療法人行陵会
pp.894-898
発行日 1992年10月1日
Published Date 1992/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900202
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はじめに
医療ニーズを一気に喚起させた国民皆保険制度が発足して30年経過した.医療技術の進歩,高齢化社会の到来と共に,治療可能な感染症を主体とする疾病から,加齢と共に現象(退行性変性)の一部として生じてくる慢性疾患へと疾病構造も大きく変化して来ている.よく1つの時代は30年と言われるが,このような社会的環境の変化の中で,国民の医療に対するニーズも大きく変化し,医療のみならず,保健,福祉の分野に対するニーズも幅広く多様化しつつあると言えよう.私が管理する施設はこのように国民の価値観が変化してゆく社会的背景のもとで,折しも薬価切り下げ等,一連の医療費抑制策が始まった昭和56年に,京都洛北大原の地でスタートした.表1は,現在に至るまでの事業内容の経過を示した.医療法人「行陵会」には,病院機能としての大原記念病院と,老人保健施設機能としての博寿苑がある.本稿では医療・保健・福祉の包括的プログラムという観点からこの両施設の特徴を示し,最後に在宅医療についてふれることにする.
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