主張
病院医療の診療報酬を考える
O
pp.297
発行日 1992年4月1日
Published Date 1992/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900065
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診療報酬体系の見直し論議が進行している.既に多くの論点が出されているが,改めて病院に対する医療費の支払について,しっかりとした考え方に基づいた対応が取られる必要があると考える.現行の診療報酬の原点は,医師の行う診療行為に対する社会的な対価として設定されたものであり,基本的には医師の専門的技術料の体系と考えられる.現実には薬価差などの物の流れに伴う収益があり,また検査やX線,調剤,理学療法等,関連の職種に対する対価と見倣し得る部分もあり,現行の診療報酬体系の位置付けと解釈は必ずしも明快にはできない.
病院の中心的機能である入院医療については,入院時基本診療料として,室料,寝具,給食料,看護料,入院時医学管理料等が設定されているが,例えば現在深刻な議論の対象になっている看護料は,これだけで入院看護業務の原価を充足するものではなく,他の十数項目の診療行為の報酬に看護の対価が含まれているとされる.事実,厳しい条件下で看護婦を確保し,より高い基準を取ったとしても報われず,むしろ基準を取らないほうが経営を利するとも言われる.このような実態は,現在の体系においては医師の診療行為の1つに入院医療というものがあり,その実施のために補填されるべき報酬として前記の各項目が設定されていると見られなくもない.
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