連載 アーキテクチャー×マネジメント・105
川西市立総合医療センター
宇田 淳
1
1滋慶医療科学大学大学院医療管理学研究科
pp.844-849
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541212024
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■病院を取り巻く環境
兵庫県川西市は,大阪府に隣接する人口約15万人の南北に長い都市である.北部には能勢電鉄に沿ったニュータウンが経済成長期に開発された.市立川西病院は1983年にこの地域に移転開設され,増加するニュータウンの住民に対応する病院としての役割も果たしてきた.しかし,少子高齢化に伴う人口減少の影響もあり,患者数が減少した.一方,南部の地域住民は,隣接する大阪府池田市や大病院のある吹田市の医療機関を受診する人も少なくなく,市立川西病院の経営は徐々に悪化し,2002年以降赤字経営が続いていた.
病院の建物も築35年を超える老朽化に加え,立地の不便さから医師の確保などが難しく「病院の今後のあり方検討会」などで,病院の移転や建て替えなどが検討されたが,経営状況の改善は進まず難航していた.そして,2014年度決算において川西市の病院事業は,資金不足比率が「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に規定された経営健全化基準を超えたため,経営健全化団体となった.
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