連載 アーキテクチャー×マネジメント・93
札幌南徳洲会病院・地域緩和ケアセンター
中村 守宏
1
1株式会社内藤建築事務所 東京事務所
pp.838-843
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211772
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■病院を取り巻く環境/建て替えの背景
札幌南徳洲会病院は札幌市の中心部から10km程度,豊かな自然と新しい住宅地が広がる清田区で,1987(昭和62)年「札幌医療生活協同組合」として開院して以来,地域に根差した医療を提供し続けてきた.1996(平成8)年には,札幌南青洲病院として徳洲会グループとなり,2001(平成13)年に現総長の前野宏先生の院長就任とともに,「ホスピスのこころを大切にする病院」が誕生した.2003(平成15)年には徳洲会グループとしては初となる緩和ケア病棟をオープン.そして,地域の在宅患者さんへさらなるホスピスのこころを届けるべく2008(平成20)年にホームケアクリニック札幌が開院した.
今回の建て替えは,旧病院の建物の老朽化および狭隘化の改善であることはもちろん,札幌南徳洲会病院の「NEXT STAGE」へのチャレンジである.そして,新しい舞台となる敷地は,原生林が残り,閑静な住宅街の中心である最高の環境となった.敷地には,今まで分かれていた病院(図1)と地域緩和ケアセンター(図2)が寄りそうように整備され,一体となって活動.さらに,病院は緩和ケア病棟を18床→40床に増床し,地域緩和ケアセンターには,がん患者さんの心の拠り所となり,地域の全ての人が自由に過ごすことができる場所ruykaが新しく誕生した.地域にとって,札幌市にとって,さらに必要とされる「ホスピスのこころ」をより強く具現化した新病院が実現した.
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