特集 これからの地域共生社会と病院経営の未来
医療と地域をつなぐサードプレイス
病院でも家でもない新しい居場所づくり
秋山 正子
1
1認定NPO法人マギーズ東京
キーワード:
マギーズ東京
,
がんとの共生
,
第3の居場所
,
がん相談支援
,
暮らしの保健室
Keyword:
マギーズ東京
,
がんとの共生
,
第3の居場所
,
がん相談支援
,
暮らしの保健室
pp.241-245
発行日 2022年3月1日
Published Date 2022/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211642
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■はじめに
2021年は,筆者が立ち上げた患者が気兼ねなく相談できる場である暮らしの保健室10周年,マギーズ東京5周年を迎えたことになり,あらためて,その意義を考えることになった.この間の多くの相談内容から,病院と家の中間にある第2の我が家=第3の居場所で,心のうちの不安や,心配事を十分に吐き出す場所が必要であり,十分に聴きながら,その中にある問題の整理を手伝い,自分を取り戻して歩きだせるように背中を押す,その場所と人の必要性を実感している.
第3期がん対策推進基本計画(2018年3月9日閣議決定)1)の全体目標は「がん患者を含めた国民が,がんを知り,がんの克服を目指す.」とし,次の3つが示された.
①科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実
②患者本位のがん医療の実現
③尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築
この中で③は「がんとの共生」と表現され,5つの分野別施策が示された.
(1)がんと診断された時からの緩和ケア
(2)相談支援,情報提供
(3)社会連携に基づくがん対策・がん患者支援
(4)がん患者等の就労を含めた社会的な問題
(5)ライフステージに応じたがん対策
予約なし・相談料無料で,がんのどの時期でも受け入れる体制を取るスタイルのマギーズ東京の機能は,このがんとの共生の課題を解決する一助を担うものとして注目されている.
本稿では,なぜマギーズ東京のような場が必要とされているか,誕生の背景から実績を踏まえて意義を述べる.
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