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■はじめに
少子超高齢社会の人口・疾病構造を見据えた社会保障制度改革として,医療計画に基づき地域医療構想を策定し,病院機能を高度急性期・急性期・回復期・慢性期に分け,地域の実情に合わせ,医療機能ごとの医療需要と必要病床数の推計・決定が進められている.
そのような中,2020年初頭より発生した,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延・拡大では,医療機関の病床は逼迫し,入院治療ができず,臨時の医療施設やホテル等の宿泊療養施設,入院待機施設が設置され,病院以外の施設においても,治療・療養が行われた.
日本の病床数は人口1,000人当たり13.0床(米国は2.5床)1)と世界で最も多いにもかかわらず,COVID-19患者の入院治療ができないのはなぜかと問われた.その理由の一つとしては,重症・中等症・軽症と患者の状態別に受け入れ可能な医療機関および受け入れ可能病床数が明確化されず,患者数増加に対して都道府県から受け入れ病床が割り当てられ,その都度の対応が余儀なくされてきたためと考える.
一方,COVID-19の蔓延は,看護職確保などにおいて潜在化していたさまざまな課題や問題を浮き彫りにし,平時からの医療・看護提供体制の在り方について再考の必要性を明確にした.
このような状況の中,2021(令和3)年10月1日に厚生労働省から「今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備について」2)の事務連絡が発出され,都道府県において新たに「保健・医療提供体制確保計画」を充実させ,今後の保健・医療提供体制が目指す姿として,推計需要に対応可能な体制とその担い手を確保すると記載されている.
これらのことを踏まえ,看護から見た今後の地域医療構想の在り方について述べる.
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