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■はじめに
地域医療構想は,将来の人口動態,疾病構造の変化に基づいた医療需要を推計して,病床機能の分化と連携を推進することで地域における適正な医療提供体制を構築することを目的として策定され,医師の働き方改革,医師の偏在対策とともに進められている.
今回の新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ感染症)のパンデミックでは,医療は逼迫し崩壊の危機に曝され,わが国の機能不全に陥りやすい医療制度や医療提供体制の問題が浮き彫りになった.そこで医療計画と地域医療構想の見直しが必要と考えられ,2021(令和3)年5月に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が公布された.
この改正医療法では,医師の働き方改革の実現に向けた取り組みと新興感染症への対応などを具体的に検討することが示され,第8次医療計画では「新興感染症等の感染拡大時における医療」が「5事業」に追加され「6事業」となった.地域医療構想についても,「新型コロナウイルス感染症の対応が続いているものの,構想の背景となる中長期的な状況に変わりないため,基本的な枠組みを維持して確実に進める方針」で,新興感染症の対応も踏まえた医療提供体制の構築を目指して推進することが示された1).
医療提供体制の構築には,診療するための施設(病床や診療所など),そこで働く人材(医師・看護師などの医療従事者)と役割分担・連携,そこで使用する機器・物資(医療資材),安全性と効率性を備えた円滑な運営のためのソフトやツール(患者情報共有システム,診療ツールなど),資金(財政支援),それらを総合的に機能させるマネジメントシステム,そしてマインドが必要である.これらがうまく連動しなければ医療機関も地域医療も機能不全に陥り,医療崩壊の危機に曝されてしまう.
本稿では,今回のコロナ感染症にかかる福岡県,福岡県医師会そして医療機関の課題や対応を検証して,今後の地域医療構想実現に向けた取り組みに反映いただければと思う.
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