特集 COVID-19パンデミックから地域医療構想を再考する
地域医療の現場から考える地域医療構想
沖縄県における新型コロナウイルスの流行と地域医療構想
髙山 義浩
1
1沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科
キーワード:
新型コロナウイルス
,
新興感染症
,
地域医療構想
,
医療介護連携
,
在宅医療
Keyword:
新型コロナウイルス
,
新興感染症
,
地域医療構想
,
医療介護連携
,
在宅医療
pp.56-61
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211600
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■はじめに:医療提供体制の課題
現在,わが国は急速な高齢化のなかにあり,いわゆる団塊の世代が75歳を超える2025年には,後期高齢者が2180万人となる.2020〜2030年の10年間では,全国で75歳以上人口が1.22倍となると見込まれている.筆者が臨床に従事する沖縄県は,1.36倍と全国で最も急速な高齢化を経験する(図1)1).
一方,それを支えるべき医療供給にも課題が多い.わが国は,他の先進国と比較して人口当たりの病床数は多いが,リハビリテーションや療養型の病床が多く,急性疾患を受け入れる病床が占める割合は高くないことが特徴である.さらに,平均在院日数が極端に長く,病床数のわりに入院している患者数は限られており,効率よく医療が提供できているとは言えない.沖縄県は,一般病院の病床利用率は全国で最も高く,慢性的な病床不足を来している(表1)2〜4).
また,わが国では,他の先進国と比較して人口当たりの医師数が少ないことから,医師1人当たりの病床数が極端に多くなり,いかに勤務医が過密な業務を担っているかが分かる.健康不安を覚えながら診療に追われている者も少なくなく,地域偏在の解消とともに医師の働き方改革が求められている.
こうした課題を解決するため,2014年に医療介護総合確保推進法が成立し,地域ごとに必要な医療機能が確保できるよう病床機能の分化と連携を進める「地域医療構想」が制度化された.こうして,超高齢社会にも耐えうる医療提供体制の構築に向けて,地域ごとに関係者による協議が始められていた.
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