特集 働き方改革のための生産性向上
総論
「働き方改革」から考える病院の労働生産性
佐野 哲
1
1法政大学
キーワード:
労働時間規制
,
裁量労働制
,
量的労働生産性
,
付加価値労働生産性
,
医療経営の質
Keyword:
労働時間規制
,
裁量労働制
,
量的労働生産性
,
付加価値労働生産性
,
医療経営の質
pp.386-389
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211418
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■日本の労働規制の特徴
「働き方改革」という政策の本質を捉えるには,まず,これまでの日本の労働規制の特徴について理解することが肝要である.
その特徴とは,テーマに即して砕いて言うなら「残業時間に甘く,残業代に厳しい」規制となろう.残業代で凌ぐ勤労者の生活実態に即した規制とも言える.労働基準法(労基法)第36条(時間外及び休日の労働)の下で「甘く」,同37条(時間外,休日及び深夜の割増賃金)の下で「厳しい」わが国の規制は,過半数組合などとの労使協定,いわゆる「36協定」さえあれば無制限の時間外労働が許される一方,関連訴訟のほとんどが割増分勘定による未払い残業代請求となり,労働災害(労災)の過労死認定基準をはるかに超える残業時間さえ訴えることができなかった.こうした特徴は先進国の標準から大きく外れており,その証左として日本は,国際労働機関(ILO)の労働時間関係条約を全く批准できずにいた.
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