特集 大学病院は地域病院を支えられるか
医師需給問題—医師養成から専門医制度まで
新医師臨床研修制度が期待する大学病院と地域病院の役割
古谷 伸之
1
1東京慈恵会医科大学総合診療内科(柏病院)
キーワード:
初期医師臨床研修
,
大学病院
,
地域病院
Keyword:
初期医師臨床研修
,
大学病院
,
地域病院
pp.114-117
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211357
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■2004年の新医師臨床研修制度前後の動向
2004年に新医師臨床研修制度が開始されるまでは,臨床研修の多くは出身大学で行われており,その後も大学医局に所属する形でキャリア形成がなされていた.地域病院の多くは大学からの派遣医師により人材の充足がなされ,地域の中核大学医学部が地方の人材供給源となっていた.確かに,安定した人材資源の配分に寄与する構造ではあった一方で,大学を中心としたいびつな社会構造であったとも考えられた.新医師臨床研修制度では,2年間の臨床研修が義務づけられ,研修先も大学病院から一般病院へと徐々に移行し,現在では大学病院研修よりも一般病院研修の方が多数を占めることとなった(図1).
一方,大都市圏以外の大学では,都市部の大学や病院への人材移動が活発化したこともあり,人材資源が減少傾向となり,かつて大学が担っていた人材資源の再配分が難しくなった.そのために人材不足となる地域が顕著となっている.厚生労働省では,研修医の募集倍率を低くとどめたり,都市部の大学や病院の研修定員を減少させることで,大都市以外への地域への研修医の再配分を実現しようとしており,研修内容の改善と相まって,わずかに大都市圏以外の病院での研修医数は増加傾向にあったが,ここ数年は変化に乏しい(図2).
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.