連載 事例から探る地域医療再生のカギ・29
横須賀市の病院再編と地方議会
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部マネジメント総合学科
pp.676-683
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211041
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神奈川県横須賀市は,県の南東部の三浦半島に位置する人口39万人の市である.東京湾の入口に位置することから,軍港都市として栄え,戦前は大日本帝国海軍横須賀鎮守府や横須賀海軍工廠が置かれた.現在も米国海軍第7艦隊,海上自衛隊,陸上自衛隊の基地が設置されている.市の中央部を低い山や丘陵が占め,海沿いの地域の平地は少ない.かつては横浜市に次いで2番目に市制を敷いたほど勢いがあったが,最近は人口が減少傾向にある.
横須賀市は軍港都市であった歴史から,陸海軍関係の病院であった施設が多い.横須賀共済病院(742床)は,横須賀海軍共済病院が戦後に国家公務員共済組合連合会に移管された病院である.また,横須賀市立うわまち病院(417床)は,横須賀陸軍病院が戦後に国立横須賀病院となり,2002年に横須賀市に委譲され,現在は指定管理者として公益社団法人地域医療振興協会が運営している.民間病院でも,衣笠病院(251床)は,旧海軍共済会病院衣笠分院が戦後はキリスト教の精神に基づく医療奉仕をすることを使命として存続し,現在は社会福祉法人日本医療伝道会により運営されている.聖ヨゼフ病院(182床)は,旧海軍軍人やその家族の診療を行った横須賀海仁会病院を発祥とし,現在は聖テレジア会により運営されている.さらに,横須賀市北部の追浜地域に接した横浜市金沢区には,横須賀海軍共済病院追浜分院が戦後に国家公務員共済組合連合会へ移管された横浜南共済病院(565床)がある.
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