連載 ケースレポート
地域医療構想と民間病院・22
医師の働き方改革が医療提供体制に及ぼす影響
松田 晋哉
1
1産業医科大学公衆衛生学教室
pp.329-332
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210693
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■はじめに
平成30(2018)年度は医療と介護の同時改革の年である.診療報酬改定の基本的指針として,地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化・連携の推進,ICTの活用,成果に応じた支払い,医療従事者の負担軽減・働き方改革の推進などが示され,それに沿った改定が行われた.7対1および10対1の一般病棟入院基本料は急性期一般入院基本料に再編され,従来の7対1と10対1の間に急性期の患者割合によって7段階の入院料が設定された.13対1および15対1の一般病棟入院基本料は地域一般入院基本料に再編され,3段階の入院料となった.さらに地域包括ケア病棟入院料・入院管理料については自宅等からの患者受け入れを行う施設に高い点数が設定されている.これらの点数設定により,地域医療構想で目指されている回復期・亜急性期(軽度急性期)を担う病床の増加が加速すると考えられる.加えて,医療施設間・医療と介護間の連携がさらに評価されるようになったことも機能分化を進める方向で作用するだろう.
以上のような診療報酬による誘導は今後それなりの効果を持つであろうが,加えて,医師の働き方改革が医療提供体制のあり方に大きな影響を及ぼすようになるであろう.今回は,わが国に先んじて医師の働き方改革を行ったフランスの例を参考としながら,医師の働き方改革が医療提供体制に及ぼす影響について私見を述べてみたい.
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