連載 医療と法の潮流を読む・9
医学研究における個人情報の扱い—法が角を矯めて牛を殺さないように
一家 綱邦
1
,
宇都木 伸
2
,
三木 知博
3
1国立がん研究センター/研究支援センター/生命倫理部/生命倫理・医事法室
2東海大学
3武庫川女子大学薬学部
pp.160-164
発行日 2018年2月1日
Published Date 2018/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210655
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2015年から2016年にかけて,個人情報を取り扱う事業主体ごとに分立する3法,すなわち「個人情報の保護に関する法律(以下,個情法)」,「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(以下,独個法)」,「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下,行個法)」が“改定”された注1.3法の改定を受ける形で研究倫理指針(以下,指針)注2の改定作業が2016年4月に始まり,2017年2月末の改定指針公布を経て,5月末に3法と指針が同時に施行された(表1).
本稿は個人情報保護法の課題を医療現場の近くにいる法学者の立場から,特に今回の指針改定をめぐる騒動をリアルに体験した立場から整理するものであるが,(紙幅の都合もあり)医学研究における個人情報の扱いをめぐる疑問や問題について,筆者なりに理解したり思ったりするところを開陳して責めを塞ぐことをご海容いただきたい注3.
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