連載 アーキテクチャー×マネジメント・30
徳島赤十字病院
小菅 瑠香
1
1帝塚山大学現代生活学部居住空間デザイン学科
pp.412-417
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210487
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■時代のニーズを追及した分棟型病院
徳島県東部の小松島市は,小松島湾や日峰山など,豊かな自然に囲まれた地域である.古くは源義経伝説などでも知られ,一時は港湾都市を目指していたこともあった.現在は徳島県南部医療圏の中核病院である徳島赤十字病院を中心に,地域全体で医療福祉に力を注いでいる状況だ.地域医療支援病院,高度救命救急センター,臨床研修病院などの指定を受けて地域の基幹病院となっているだけでなく,2007年には医療福祉建築賞(一般社団法人日本医療福祉建築協会)も受賞し,今やその佇まいも地域のシンボルとなっている(図1).
ブロックプランとしては,約30,000m2の敷地の北側にダブル十字型の病棟を載せた病院棟と,南側にブリッジでつながれた外来棟,その西側に防災エネルギーセンターの建物を持っている(図2).外来棟の上に病棟を載せた一体型の病院建築が全国的に多いなかで,徐々に増えてきたとはいえ,外来を完全に分棟としている事例はまだ珍しい.一般的に設計時の柱のスパンの自由がきくことや,増築・改築,設備更新の容易性など,多くの長所が聞かれる.さらに入院医療と外来医療の提供体制に一層の展開が予想される今,これらを分棟にしておくことは,使い方の自由度を上げる意味でも有効だろう.徳島赤十字病院では病院棟と外来棟の設計者を分けており,現在は病院棟の西側に,病院棟設計者による増築棟を建設中である.
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