特集 働き方改革の行方
巻頭言
渋谷 健司
1
1東京大学医学系研究科国際保健政策学
pp.847
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210827
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医師の働き方改革が佳境に入ってきた.本特集の武井論文では,厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」から,宿日直や在院時の自己研鑽の扱いや応召義務など,主要論点について最新の状況をまとめていただいた.同検討会では,健康管理という観点から一定の時間外労働規制はやむを得ないという労働側の意見と,医師の特殊性を踏まえた対応が必要であるとする医療側との意見が対立している.特に,医療現場からは,医師数が足りない中で労働時間の短縮は困難であり,働き方改革は医療の崩壊につながるといった声を多く聞く.
しかし,今こそ「長時間勤務は当たり前,自己研鑽も診療の合間や病院内に残って勤務時間外に行う,呼び出しがかかればその都度対応する,その結果,長時間勤務がさらに続く」という悪循環を断ち切り,医療の構造改革と生産性の向上を図るチャンスである.そのためには,現場の地道な業務の効率化と経営トップの強い意思が求められる.
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