発行日 1949年8月1日
Published Date 1949/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210143
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私が厚生省に入って,一番最初に司令部の方から指示を受けました事は,遇然にも病院の運営に關する事柄でありました。それは某国立病院について,その地方の軍政部から総司令部公衆衛生福祉部長宛に,その國立病院の管理運営が頗る不充分である,即ち病院の内外の清掃とか整理とかいう点について,再三注意を與え,また時々勧告したのであるが,少しもそれが改善せられない。またそういうふうな指示に対して,誠意をもって改良しようというような意志さえも認めることが出來ないということでありました。即ち國立病院の管理の責任者である院長が,その職責を完うするには不適格な者がいる。従って速に有能な誠意のある適当な院長と交代せしめる必要がある,というような極めて強い勧告であったのであります。
私も初めて医務行政の責任者という地位に立って,その就任後数日にして最初にぶつかったのが,以上のように病院の管理運営ということであったのであります。当時はまだ,國立病院の実態を見る暇もなく,従いまして國立病院,國立療養所等國立医療機關について充分の認識も理解ももっていなかったのであります。けれども,この一事にぶつかって,非常に多数の病院,療養所を抱えている私としては,これは大変な大仕事であるということを切実に感じた訳であります。その時以来,病院の管理運営ということは独り國立病院のみならず,全國の官公私立,あらゆる病院にとって重要なことで,病院を監督指導する地位にある医務局長としては一方ならぬ大仕事であるということを痛感したわけであります。
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