医療を囲む声 病院の視力・聴力・感性
わたしについての情報は誰のもの?
松原 雄一
1
Yuichi MATSUBARA
1
1市民と専門家のための健康・医療ガイドセンター
pp.623
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209612
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情報化社会である.情報の量・質・管理方法などをめぐって,現在社会的ルールの急速な再構築が行われている.医療の社会も例外ではなく,それを認識している医師・病院は多い.しかしその際,情報所有についての一般の市民感覚をどれだけ重要視しているだろうか.例えば,金を払って自分の肖像画を描かせたり写真を撮らせたりした場合,当たり前だが,それらは自分のものとなる.医療の世界・病院ではどうだろうか.
患者は診察を受ける.カルテに記録が残る.レントゲン検査を受け,写真が残る.採血され,データが出て来る.薬を渡される.そういった一連の医療行為に対して金を払う.しかし,その際どこまで自分のからだや病気についての検査の結果やデータ・情報が患者のものになっているだろうか.もちろん医療分野における情報の意味は,絵を描かせたり写真を撮らせたりすることとは異なる面があるのは確かだし,すぐに「癌の場合はどうするんだ」という質問・反論がなされるとは思う.
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