医療従事者のための患者学 "患者学"から見たコミニュニケーション・1
"コミニュニケーション"の機能
仁木 久恵
1
Hisae NIKI
1
1明海大学外国語学部英米語学科
pp.342-347
発行日 1989年4月1日
Published Date 1989/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209542
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はじめに
今,私の目の前に1枚の絵がある.救済大通りという名前の道路に面して,今にも崩れそうな建物(病院)が立っている.この絵の主な登場人物は2人,医師と病人である.ピエロの服装をした病人は,片方の手(足かもしれないが)で,のしかかってくる病院の壁を崩れてこないように押さえ,もう一方の手で,病院の戸口のベルを鳴らして入ろうとしている.彼は,「悪夢のような立場」にいる.病院に行って苦痛を取り除いてもらいたい,だが恐ろしくて行きたくない.彼の動作は,「訴え」と「拒否」という2つの矛盾した気持ちを表しているのだ.しかも身につけた服装から判断すると,建物の中にいる主人公に対して「ピエロ」の役を演ずるつもりなのであろうか.
もう1人の主人公である医師に関しては,この絵をめぐって解説が付されているので,その部分を引用してみよう.
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