特集 効果的な職員教育を進めるために
組織医療における職員教育
伊賀 六一
1
Rokuichi IGA
1
1東京都済生会中央病院
pp.206-209
発行日 1989年3月1日
Published Date 1989/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209506
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いま求められていること
現代の社会の特徴の一つとして「価値観の多様化」をあげることができる.その特徴は医療社会にとっても例外ではない.専門分化する医療の立場からみても,また個の尊厳が主張される現代の社会の中で,患者の立場からみても,それに対応するための方法論を確立する必要に迫られている.
自然科学の進歩によって,医学や医療が専門分化することは当然としても,その帰結として,専門分野あるいは専門職種の立場から,"業務の独立"あるいは"明確化"がいわれている.しかし,私はその具体的な要請の中に,医療の原点である生命に対する統一性と連続性を分断する危険性と同時に,医療が社会から孤立する危険性をもはらみ,社会機構,特に人間関係に種々の摩擦を生ずる大きな原因になって来ているように思う.これからの病院の課題として,質の向上,機能の効率化と安全性の確保,患者を中心とした人間性のある医療,医療の経済性などが強調される所以であろう.
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