精神病院・地域ケアのための組織づくり
精神障害者社会復帰への道—城西メンタルセンターの30年
関 守
1
Mamoru SEKI
1
1医療法人城西病院
pp.136-141
発行日 1989年2月1日
Published Date 1989/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209488
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●はじめに
昭和63年7月,「精神保健法」が施行され,我が国の精神保健行政は大きく変わろうとしている.旧「精神衛生法」では,明確に謳われていなかった「精神障害者の社会復帰の促進,福祉の向上」が,目的規定のなかに盛り込まれ,国が積極的にこの問題と取り組む姿勢が示された.精神障害者社会復帰施設の制度化が図られ,各地に精神障害者生活訓練施設を設置することが計画されている.目的に応じて,「援護寮」「福祉ホーム」と呼ばれるが,いずれも,いわゆる中間施設(ハーフウェイハウス等の呼び方もある)であり,将来の完全な社会復帰へ向けて生活訓練を受けるために精神障害者が利用する施設である.施設の設置者(例えば病院)は,様々な生活の援助を供与し,利用者は,ここから職場,授産所,あるいはデイケアなどに通うのである.こうした施設は何十年来その必要性が叫ばれていたが,行政府の腰は重く,なかなか具体化しなかったものである.このたび,こうした方向づけがなされたことは,まことに喜ばしいことといえる.
当城西病院が中間施設を設置する構想をもったのは,今をさること約30年,昭和34年のことであり,その年の2月の役員会において設立が決定され,名称を「城西メンタルセンター」として発足した.当院の治療体系のなかでは重要な機能をもっており,現在までに延べ495名が利用し,約半数の263名が社会復帰を果たしている.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.