特集 病院と医師—組織のはざまのなかで
医師-病院関係小論—その歴史的展開と今後の行方
大道 久
1
Hisashi OHMICHI
1
1日本大学医学部病院管理学
pp.109-113
発行日 1989年2月1日
Published Date 1989/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209481
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改めて述べるまでもなく,医師と病院は,医療を提供する主体として最も重要な役割を担っている.いかなる国においても,医の心得のある医師の身分と,病者を収容する病院という施設は医療の制度として存在し,長い歴史的な経緯を経て,今日の姿があるといってよい.社会にとって医療は最も普遍的な対処すべき課題であり,医師や病院についての制度や在り方は,それぞれの国の固有の歴史や風土に培われて成り立ってきた.医療は文化であるといわれる所以である.
したがって,医師と病院の関係についても,国によってかなりの相違があり,しかも,時代的な背景を受けて,それぞれの変遷をたどってきた.科学技術の目覚ましい進歩と著しい人口の高齢化の進行するこの現代にあって,先進諸国は医療の運営に大きな問題を抱え込んでおり,医師と病院の在り方,ひいては両者の関係についても,新たな変遷を遂げることを迫られているといってもよいであろう.
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