特集 感染対策から見た医療廃棄物の諸問題
医療廃棄物による感染の実態と感染源
岡田 淳
1
Jun OKADA
1
1関東逓信病院総合検査科部
pp.919-921
発行日 1988年11月1日
Published Date 1988/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209404
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はじめに
病院を含む医療機関より排出される廃棄物の問題が最近にわかに注目されるようになった.1980年頃米国で報告されて以来,この問題は世界中を駆け巡り,昨年当初より,わが国でも一時パニックとなったエイズ(AIDS)や,注射針の誤傷によるB型肝炎感染死亡事故は,医療関係者に対してのみでなく,国民に極度の社会不安を残した.更に最近ではニューヨーク近郊の海岸に不法投棄された血液製剤容器や注射針のニュースも我々にとって少なからずショッキングな事件である.
AIDSやB型肝炎の感染経路として血液や医療器具が問題となることは古くより知られていたが,病院内の院内感染防止対策の一問題として重要視されていたにすぎない.医療機関より排出される廃棄物によって上記のような感染事故が起こりうるか否かの真偽はともかくとして,疾病の治療およびヒトの健康増進を目的に高度に機能化された医療機関から有害,危険な物質が知らず知らずのうちに排出され,医療従事者,患者のみでなく,環境汚染や一般人への健康障害を起こしているとすれば極めて由々しき問題である.
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