特集 感染対策から見た医療廃棄物の諸問題
今,なぜ医療廃棄物が問題なのか
小酒井 望
1
Nozomu KOSAKAI
1
1順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院
pp.917-918
発行日 1988年11月1日
Published Date 1988/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209403
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医療機関,すなわち病院,診療所,臨床検査センター(登録衛生検査所など)から排出される廃棄物,すなわち医療廃棄物は,一般の産業廃棄物や家庭廃棄物と同一のものもあるが,医療機関特有のものがあり,各種感染症の原因となる病原微生物を含有するものが多く,それによる感染症が注目されるようになったことが,医療廃棄物問題がクローズアップされた原因と考えられる.特に患者血液による医療従事者のB型肝炎など肝炎,成人T細胞白血病,更にはエイズの感染が問題化し,この対策が緊急課題となっている.この対策は院内感染対策としても重要であることはいうまでもない.
医療廃棄物処理対策は医療機関にとってのみならず,環境汚染防止の観点からも重要であることはいうまでもない.最近,患者検体,中でも血液によって感染を受けやすい臨床検査技師の人たちが中心になって,他の医療職種,廃棄物処理の専門学者と業者によって,「医療廃棄物研究会」が4月に結成され,更に6月には厚生省生活衛生局に医療廃棄物処理対策検討会が設置され,この問題の研究が急に活発化した.
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