特集 民間病院のこれから
「地域医療計画」と民間病院
池上 直己
1
,
今井 重信
2
Naoki IKEGAMI
1
,
Shigenobu IMAI
2
1慶応義塾大学医学部病院管理学
2湘南中央病院
pp.1019-1025
発行日 1987年12月1日
Published Date 1987/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209191
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◆研究者の立場から
民間病院としての対応
民間病院とは何か
民間病院について論じる場合に,国から個人にまで渡る開設者分類の中で,どこまでを「民間」とするかについてまず検討する必要がある.厳密に言えば,民間以外の形態は「国公立」であり,いわゆる「公的性格を有する」日赤や済生会等の病院も国際的な基準に従えば民間病院である.ところが,日本では一般に「民間病院」というと「医療法人」ないし「個人」の病院に限定されて用いられている.しかしながら,これらの病院においても医療の公共性からして,また医療収益のほとんどを国民から強制徴収される社会保険に依存している以上は「公的な性格」を有しているわけであり,いずれにせよ営利を目的とする病院は医療法第7条によって禁止されている.それだからこそ,昭和60年末の医療法改正においてすべての病院の病床を規制することが法的に妥当と判断されたといえよう.
それでは,いわゆる「民間病院」の特徴は最終的に個人に帰属する所有の形態にあるか,というと必ずしもそうではない.確かに社団の医療法人についてはそうであるが,特定医療法人等の場合は個人の手を離れた団体にある.後者の場合には特に「公的性格を有する」病院との相違が一層不明確になる.
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