特集 医療社会事業
老人の医療福祉の現場から—MSWの視点と援助の実際,医療福祉サービスの現状と問題点
奥川 幸子
1
Sachiko OKUGAWA
1
1東京都養育院付属病院医療ソーシャルワーカー
pp.817-825
発行日 1982年12月15日
Published Date 1982/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206623
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■はじめに——老人の医療と福祉のはざ間で
老人医療の現場で働く医療ソーシャルワーカー(以下MSW)は,病弱のまま,あるいは障害を抱えたまま他者に依存しながら生きてゆかねばならない老人ばかりと会っている.現代社会における「老い」と「死」へのプロセスをうまく通過できず,人生の後半生において最大の試練を迎えているこれらの老人の存在(いのち)の重さに,医療従事者も含め家族は戸惑い,怒り,悩む.
ある老人は,周囲の当惑や不安をよそに,食事すら自分で作れないのに独り暮らしを主張して,周囲の人々の日常生活の平隠をかき乱す.一方では,自ら進んで,あるいは周囲の勧めに従ってしぶしぶ,老人ホームや老人病院を終のすみかとする老人もいる.
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